先日11月17日に、地元映画館にて行われた『STAND BY ME ドラえもん2』の試写会に当選したので、家族で足を運んできました。試写会の当選確率は地域によってまちまちですが、高いところではなんと30倍だったそうです。
一方私のところでは、たぶん高くとも2倍くらいだったのではないでしょうか。というのも、私の息子たちがそれぞれ往復はがきで応募して片方は当選、片方は落選という結果だったので。
STAND BY ME ドラえもん2の概要
監督:山崎貴・八木竜一
脚本:山崎貴
原作: 藤子・F・不二雄
公開日:2020年11月20日(金)(延期前2020年8月7日)
監督は前作から引き続き、 山崎貴氏、八木竜一氏が手掛けています。このお二人がタッグを組むのは実は3作目。2011年に東宝系で公開された『friends もののけ島のナキ』が最初でした。
元々の公開予定日は8月7日でしたが新型コロナウイルス感染症の流行による映画興行の一時停止及び、映画『ドラえもん のび太の新恐竜』の公開が8月7日に延期されたため、ドラえもん映画の玉突きということでこちらも3か月遅れての公開になりました。
本来であれば8月7日の公開をしたかったはず…。というのも8月7日はのび太の誕生日!実はこれ、映画のなかでもちょっとしたキーポイントとなる部分だったりします。実際に『STAND BY ME ドラえもん2』の劇中でも、舞台は8月。登場人物はみな半そでを着ているし、11月公開だと季節感に若干の違和感かな?
感想(ネタバレあり)
端的に書くと「テンポは◎。全体を通して飽きがなく、96分という短さでよくまとめてある。前作よりは面白いが子どもにはウケにくいかも」といったところ。
やはりこのスタンドバイミーシリーズは大人向けだと思わされました。序盤から何度も行ったり来たりのタイムトラベルがあります。未来へも行くし過去にも行きます。タイムマシンにまつわる最初のシーンでは、低学年のお子さんだと理解ができないかもしれません。
さらに大人のび太と子どものび太が途中で入れ替わることもあります。『子どもの見た目で、中身は大人のび太』『大人の見た目で、中身が子どもののび太』が同時に出てきます。判別する方法は『声』です。前者の『子どもの見た目、大人のび太』は妻夫木聡さん扮する『大人のび太』の声なので、違和感がありますし、逆も然りです。声が逆転しているだけなので大人の私でも『これはどっちだ?』と思ってしまうところがありました。
なぜなら、『大人のび太』がクソ過ぎるから!!!これに尽きます。
まず映画の宣伝文句にもあるように『のび太、逃げた』なので、結婚式をとんずらしてしまうわけです。前作ではあんなに渇望していたしずかちゃんとの結婚なのに、『ドラえもんには会わないよ』とかっこつけたのび太なのに、2ではいともまああっさりとドラえもんに会ってしまうし、結婚式自体もかなりボロボロです。ちょっとここまでダメ人間に描かなくてもいいのでは?と思ってしまうほど。大山のぶ代さん時代のドラえもんを好んでいる大人世代は「子どものび太はダメダメだけど、大人のび太はそこそこ」ってイメージがありませんか?私はそういう思いがあったので、かなりダメに描かれたのび太は少し残念でした。
CGの出来栄えや、全体を通しての話の流れはなかなかGOODです。感動作『おばあちゃんのおもいで』と『のび太の結婚前夜の後続』という2作品をうまく織り混ぜていました。どちらかが足を引っ張る、どちらかが弱いということもなくバランスがよかったと思います。
しかし前述したようにスタンドバイミーシリーズは『大人向けドラえもん』のわけですが、その大人たちが思い出すのはやはり昔の作画と昔の声優ではないでしょうか。
大好きだった『おばあちゃ…』『のび太の結…』をリメイクしてしまうと、昔の作品ではなく、新しいものが正規品というような印象になって悲しくも思いました。
最近のドラえもん映画は昔のリメイクが多くなっているのも、実は寂しく思っています。ドラえもんズやノラミャーコさんもそうだけど、新ドラえもんになってから全く存在がない。なかったことにはしてほしくないなぁ(今後出てくることを期待!)
スタンドバイミーシリーズにおいては、立派な作品であればあるほど、ターゲットの大人世代は少し寂しくなるんじゃないかなと思ってしまいました。
キャラクターの見どころ
ドラえもんやのび太、いつメンのみんなに目が行きがちですが、ちょいちょい私の視界に入ってきたのは、人気漫画家クリスチーネ剛田ことジャイ子です。結婚式にも呼ばれるくらい深い仲だったんだなぁとか思いながら見てましたが、終盤でも食い込ませてきます。ちょっとなのにおいしい出方です。最初にあってもいいのに、終盤に持ってくるあたりが「狙ってるな」って感じ。
出来杉くんは出来過ぎて式当日は出張で不在だけど、本当は少し悲しそうだよね…って思いながら見てほしいです。しずかちゃんは「自分を必要としてくれる人」が好きなんでしょうね。出来杉くんといても、自分の価値って見出せないような感じしますもんね。(突然の出来杉くんへのディスり)
あとはちょっと出の『ナカメグロ』や『入れかえロープ』の声優さんはゲスト出演の方なので、事前に調べて誰かわかってるうえで見るも良し、あえて知らずに映画で「あっ!この声は!」となってみるも良しです。番宣で見た方もいるかもしれませんが、私は「あっ!」と思いたい派なので、『アナ雪2』なんかもあえて予備知識なく見て、あとから「吉田羊さんだったんだ!」と楽しみました。(余談中の余談)
菅田将暉さんが歌う『虹』はちょっともったいない
良くも悪くも耳障りのいい曲です。前作と同じようなテイストの音楽。ただこれは菅田くんじゃなくてもいいんじゃないかなぁと個人的な感想です。もっと力強く、低めのキーを頑張って歌わせてくるような曲が彼には合っていると思うので、少しですが「菅田将暉の無駄遣い感」を感じました。ただもちろん彼は歌がうまいので、この映画には合っていると思います。
最後に『ドラ泣き』を含む「映画のキャッチフレーズ」について
序盤にも述べましたが、私は試写会での視聴をさせてもらいました。すると司会の方が始まる前に登壇されやたらめったら「『ドラ泣き』必至です!」「『ドラ泣き』覚悟してくださいね!」と言ってきました。あまりの押し付けに私は『ドラ泣き』という言葉が嫌いになってしまうくらい、このワードに居心地の悪さを感じてしまいました。
ここ数年は映画でもドラマでも、視聴者側ではなく制作サイドが無理にヒットワード生み出そうとする風潮があると感じています。しっくりきてないキャッチフレーズだとやればやるほど安っぽい感じが否めません。そのほうが宣伝効果があるのはわかりますが、フレーズ選定は慎重に行ってほしいと思うばかりです。実生活で「ほんとドラ泣きしたよ~!」なんて言っている人、1人も見かけませんでしたから。
まとめ・高学年以上のお子様からおすすめ
試写会に多かったのは「保護者と小学生1人」のペアが最も多かった印象でした。小さい子では3歳くらい、年配の方では60代くらいのご夫婦でのお客様もいらっしゃいました。やはり難しかったのか、10歳に満たないお子さんだと、最期の方グダグダしてしまったり、頬杖ついてお母さんのほうをチラチラ見たりといった様子もうかがえました。ましてやコロナ禍の試写会だったこともあり、ペアで行っても間に1席空けなければいけないというルールだったので、小さいお子さんにはもどかしかったのかもしれません。高学年以上の『ドラ泣き』ができる世代におすすめしたい1作品でした!